河北潟も低湿地であり、類似する条件もあり、河北潟の自然再生を考える上で、攪乱の後の低湿地の状況や、人の手が圧倒的に少ない状況で低湿地の自然がどのような状況になっているのか、また、被災地の農地や湿地の再生がどのような形で進んでいくのかを自分の目で記録しながら、なにか河北潟からの提案ができるのかどうか、とりあえず現状を大まかに見てきました。
北上川河口域は、1月にヨシ刈りの手伝いに訪れていますが、地盤が下がったことでヨシ帯が一部消失していました。以前訪れた際に、ヨシ帯の復元を願う声も聞かれましたが、自然現象がつくりだした美しい景観として評価することもできるのでないかという印象でした。人により後背湿地が消失している現状の中では、ヨシ帯の復元は重要な課題ですが、ヨシ帯の造成といったことには、違和感を感じます。
名取川周辺は津波で大きな被害受けたところですが、河口の干潟にはたくさんのヤマトオサガニやウミネコが見られました。ナホトカの時も感じましたが、沿岸域の生態系の再生は速いという印象です。ただし大まかな見学ですので詳細は不明です。
津波が襲った水田はひどい状況です。除草剤が散布されているエリアは、一面褐色で、一方、除草剤が撒かれていないエリアは、雑草が繁茂しています。緊急な措置として広域の除草剤散布を行っているようですが、土壌の状態など腐敗が進んでいるようにも見え、適切な方法かどうかわかりません。雑草が繁茂しすぎると農地としての再生が困難になると思いますが、現時点でもできるかぎりのきめ細かな雑草管理対策が必要との思いを抱きました。実践できるところ、実践できる農家はそうした方法を手探りで行っているものと思います。
除草剤の散布エリアにおいて、オモダカ、ミズアオイが見られました。いろいろ考えられることはありますが、ここでは述べません。
南相馬では、重機で表土を薄く剥ぐ除染が始まっていました。新しく開発された技術が使われている
ものと思います。
その近くで、手作業によるがれき撤去が続けられています。小さながれきが土の中に埋まっているようです。結局はこうした作業が欠かせないようです。人への投資が必要と感じます。
(文責 高橋 久)