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2010年03月10日

河北潟の湖面利用のルールについて

 河北潟は、フナ釣り、バス釣り、カヌー、水上オートバイ、ウェイクボードなど、様々なレジャー・スポーツに使われておりますが、特に最近、エンジンのついた装置を使ってのレジャーが増えています。河北潟は公共水域であり、また漁業権も消失しているため、湖面での船舶または遊具の使用にあたっては特別な規制はありません。しかし利用が増えることによって、利用者間でのトラブルが起こることが予想されます。またなによりも、河北潟の自然が損なわれる可能性が考えられます。
 河北潟には、毎年2万羽のガンカモ類が越冬しています。湖岸のヨシ帯は、石川県指定希少野生動植物のチュウヒをはじめ、オオヨシキリやカイツブリの繁殖場所となっています。またギンブナやコイの産卵場所にもなっています。モーターボートが高速で運航した場合、野鳥への直接的な脅威になることはもちろんですが、とくにウェイクボードでは、牽引船により強い波が立つためヨシ帯の泥が洗われ、ヨシ帯が損傷する可能性もあります。
 河北潟地域には、河北潟の環境保全と自然再生を目的とするネットワーク組織である河北潟自然再生競技会が2002年より活動しています。この協議会には私が所属する河北潟湖沼研究所も加わっておりますが、そのほかに地元の町会連合会や河北潟をさまざまに利用する団体、勤労者の団体、NPO等が参加しています。河北潟の湖面の利用のあり方とその中での河北潟の環境保全について、さまざまな立場から考えるのに最適なネットワークです。そこで、最初にこのネットワークの中で、河北潟のモーターボートの問題を約2年間にわたって議論してきました。その中でのモーターボート利用についての大まかな結論として、以下の2点を確認しました。
1)何らかの大胆な規制が必要である。とくに湖岸植生や野生生物が多い区域では、高速でのモーターボートの運行を禁止する。
2)利用者の合意のもとに自主的な規制をおこなうのが一番望ましい。そのために湖面利用のルール策定のための協議会を設置する。
 私たちは、こうした提案を持って、河北潟を所轄する自治体の担当部局に相談し、行政に調整役を依頼しました。調整役を引き受けるところはありませんでしたが、複数の部局から、窓口にはなれないが、河北潟自然再生協議会が音頭を取るのであれば参加はするという返事がありました。そこで、利害関係の対立もあるだろうし、場合によってはどういう展開になるか分からないが、利用者をとにかく集めてみようと「河北潟の湖面利用を考える集い」を計画し、2009年6月27日に金沢市こなん水辺公園において第1回の集いを実施しました。
 河北潟自然再生協議会より、趣旨の説明、次に河北潟の野鳥についての説明、河北潟利用の変遷と現在の問題点およびルールづくりの提案をおこない、参加者からそれぞれの思いや環境へ配慮している点など発言してもらいました。このときの参加者は48名で、内訳は、フナ陸釣り、バスボート、カヌー・手こぎボート、ウエイクボード、NPO・野鳥専門家、農家・住民、行政、マスコミなどでした。実際にはモーターボートの利用者が全体から見て少なく、さまざまな利用者の意見を十分に集約できたとはいえませんが、動機の源はそれぞれ異なるものの河北潟を大切に思う気持ちは共通であり、また、最近の傾向でもありますが自然保護の点では意見の隔たりはありませんでした。
 暫定的に、連絡事務局を設置し当面は河北潟自然再生協議会が事務局となることとし、同年10月17日に第2回の会合をおこない、当面の利用ルールとして、東部承水路や競馬場裏手の野鳥の多いエリアはできるだけ利用を避けるということを確認しました。これを各団体に持ち帰り、内容を検討することとし、今年2月7日に第3回の会合を開き、ルールを策定しました。
 河北潟と河北潟地域の将来像を考える上で、河北潟の湖面をどう利用するのかということは重要な問題です。今回の取り組みは、地域の人が河北潟をどう見るのか、河北潟とどう向き合っていくのかという、将来の方向性を考えるひとつの機会になるのではないかと思います。
 現在、自治体において示されている河北潟の利用の方向には、いまの河北潟の自然が貴重な地域の宝であり、守るべきものであるという視点がまだまだ不十分であるように感じます。むしろ現在の河北潟は悪い環境であるとの認識から、水質浄化の観点のみからの環境対策や、利活用の観点からの施設の建設や湖岸開発のみが強く出ているように思います。
 こうした傾向に同調するように一部の利用者から、そのような場所であれば自由に使いたい、そのための利便性を図ってほしいということが出てくる可能が考えられます。しかし多くの住民や利用者はもっと河北潟をよく見ていて、大切に考えているようにも思えます。特に地域住民の中には、経験として、世代を超えて末永く河北潟と関わるという視点や、今ある価値を見つめようとする視点がちゃんと備わっているようにも感じます。行政の河北潟の施策や地方議会の中でも、こうした観点をしっかり持った上で議論を展開していただければと思います。
 また、河北潟の潟縁に暮らしてきた民には、河北潟を永く利用するためにルールを作り、環境の維持をはかってきた歴史があります。そうした点についても振り返りながら、河北潟との関係を再構築していくことも、この活動の目標になるかと思います。

河北潟湖沼研究所 高橋 久


河北潟ルールのチラシについてはこちらからダウンロードできます(画像をクリック)。
河北潟ルール
posted by ちゅうひくん at 15:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 最新情報
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