はじめに高橋久(NPO法人河北潟湖沼研究所理事長)よりあいさつと趣旨説明がされました。
続いて河北潟湖沼研究所のメンバーより、河北潟のゴミの現状や取り組みについて報告されました。番匠尚子(河北潟湖沼研究所)からは、「河北潟流域のゴミの現状、ゴミ調査結果について」と題して、河北潟の湖岸にゴミだまりとなっている場所があること、流域の川から流れてきたゴミが河北潟に集まっていること、わざわざ河北潟付近にゴミを不法投棄しに来ている人がいること、捨てる人はどうやら固定されているのではないかということ等が報告されました。
続いて、川原奈苗(河北潟湖沼研究所 副理事長/河北潟クリーン作戦実行委員会 事務局長)より、「29年目をむかえた河北潟クリーン作戦〜課題と可能性〜」と題して、クリーン作戦で拾われるゴミの重量は年々減少傾向にあるが、漂着ゴミが多く、拾っても拾ってもなくならない状況、この10年で正確な記録がある分だけでも約39トンのゴミが河北潟の湖岸から拾われたこと等が報告されました。また、拾われたゴミが埋め立てゴミとして山に埋められることも多く、湖から山にゴミが移動している現状を、工夫して変えていけないかという意見も出されました。
次に行政や企業の方より、ゴミ処理の現状や課題、リサイクルやゴミ削減等の取組についてお話しいただきました。
金沢市ごみ減量推進課の寺陽介さん、若松大樹さんからは「金沢市のごみ減量の取り組み」として、金沢市の家庭ごみは4割以上が生ごみ、3割以上が紙ごみであること、この二つのゴミを削減する取り組みを紹介いただきました。電気式生ごみ処理機の貸し出しや購入助成の制度、段ボールコンポストについて、古紙回収の取組、食品や飲料が直接触れたものや防水加工された6缶パックの紙パッケージなどはリサイクルできないこと等、具体的にお話しいただきました。リサイクルの取り組みを進めている一方、資源搬入ステーションが混雑、渋滞し困っていることも紹介されました。
株式会社エフピコの若林大介さんからは「『トレーtoトレー』エフピコ方式のリサイクルの取組み」と題して、企業として取り組むプラトレーの回収とリサイクルの仕組みについてお話しいただきました。トレーの回収量の推移、回収してリサイクルされる量が増えていること、回収時にコストやエネルギーをなるべくかけないようにしていること、回収されたトレーが人による手選別での作業を経てリサイクルされること、障がい者を積極的に雇用している経営等をご紹介いただきました。課題として、回収したトレーの中に、リサイクルできないトレーが混ざっており、それを削減して行く事、トレーの回収量を増やしていくことが挙げられました。
河北郡市広域事務組合の菅田佳奈子さんからは、「河北郡市のごみ処理について」と題して、4月から稼働する河北郡市の新しいゴミ処理施設についてお話しいただきました。新施設ではこれまで別々の場所で行われていた燃えるごみと下水汚泥の処理を一か所でおこなえるようになり、また燃えるごみから作られたRDFを、これまでは志賀町にある施設まで運搬し、焼却と発電を行っていたものが、同じ施設で発電までできるようになること等が説明されました。また2022年にできたプラスチック資源循環促進法に基づいてプラ製品のリサイクルに取り組む必要があるが、現在の設備ではすべてを受け入れることが困難であり、対象品目を限定して取り組むことを検討中であることが紹介されました。
株式会社中央設計技術研究所の山本正樹さんからは、「脱炭素政策について考える」と題して、ごみ処理事業の経費に日本全体で一年間に約2兆円、国民一人当たりでは約16000円かかっていること、ゴミ処理技術やサービスの高度化でその金額が増加傾向であること等が紹介されました。またゴミ処理の経費は、収集、運搬にかかるものが4割ほどあり、分別や区分数が増えるとそれらにかかる経費やエネルギー消費が増えるということもお話しいただきました。脱炭素にはお金がかかり、リサイクルにはエネルギーを使うという矛盾があり、一部分だけを切りとってみるのではなく、ごみ処理システム全体をみて、考えていく必要があるというお話しでした。
さいごのディスカッションでは、それぞれの課題や矛盾について話し合いました。会場、オンラインあわせて60名の方にご参加いただきました。開催にご協力いただいた皆様、ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。
*このシンポジウムはエフピコ環境基金の助成を受けて実施しました。
