金沢市長選の立候補を表明されている中内てるこさんから、公開質問状への回答をいただきましたので、以下に掲載させていただきます。
公開質問状全文は、2月25日の記事をご覧ください(こちら)。
河北潟自然再生協議会からの公開質問状への回答
中内てるこ事務所
回答にあたって、日頃より、河北潟の環境改善と自然保護に並々ならぬご努力をされていることに敬意を表すると共に感謝申し上げます。
今後とも皆様の活動の一助となればとの思いで以下述べさせていただきます。
質問1 河北潟の流域からの水質改善について
河北潟は、もともと海水が流入する汽水域であったものが、1963年から国により、河北潟干拓事業として進められ、河北潟の2/3の面積が農地となり、淡水化されました。
ところが、1977年に水田から畑作へと転換され、1986年から本格営農が開始されました。従って、その後、二つの大きな課題を抱えることとなります。営農継続と1/3となった河北潟の環境保全とりわけ水質保全です。
河北潟へ流入する河川は、宇ノ気川、能瀬川、津幡川、森本川、金腐川、大宮川であり、海への流出河川として大野川が存在します。
従って、流入する河川の流域での下水道整備と水質浄化が大きな課題でした。その後、下水道の整備が進められ改善が進んできました。農地などからの汚濁排出や、1/3となり、淡水化された河北潟自体と環境悪化が課題となってきました。
石川県保健環境センター研究報告書第57号(令和元年度)の「河北潟沿岸透明度向上技術の検討(第1報)」によると透明度改善のための主な原因物質と考えられる懸濁物質(SS)の性質及び濃度傾向を把握する必要があるとし、その性状や発生源、気象による影響について調査し、透明度改善につなげていきたいとしています。こうした知見などを集め、水質改善に取り組んでいきたいと考えています。
質問2 河北潟の野生生物の生息環境の保全対策について
河北潟は、潟と干拓地を含む周辺の低湿地帯が広がり、落葉広葉樹の自生種や樹木が高さ3mから10mにまでなるなど野生生物にとってよりよい環境となってきました。
その結果、1963年以降に記録された鳥類は、21目27科283種となったとされています。(河北潟鳥類リスト追加記録種の報告・中川、川原2017)水鳥や猛禽類の生息地だけでなく、森林性の鳥類や、渡り鳥の中継地としての役割が注目されてきているとお聞きしています。
今後、野生生物の生息調査をおこなうと共に、環境整備に向け、関係者からのご意見を伺いながら、対策を進めていきたいと思います。ご指摘の河北潟のラムサール条約湿地への登録については、営農継続との関係を計りながら、関係方面と協議を進めていくことが求められると考えます。
質問3 河北潟及び流域における環境保全と地域振興の施策への多様な主体の参加、連帯について
国策により、河北潟干拓事業が進められ、河北潟の2/3の面積が農地となり、淡水化されました。ところが、水田が畑作に転換され、営農継続と環境保全さらには、周辺農地の浸水対策が大きな課題となってきました。その後、酪農が壊滅状態となる中、スイカやレンコンなどの営農がようやく継続してきました。
今後の河北潟と地域振興を進めていくためには、自然環境保全と営農継続を図りながら、周辺自治体の参加と協力が欠かせません。
何よりも、関係者との持続的な話し合いと共同の取り組みが求められると考えます。そのために力を入れていきたいと思います。